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■2000年12月26日
おまえまで。。。
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昨日の「やっぱり。。。」から一夜明けてもまだ、オサムの心の中のわだかまりは消えなかった。
(「やっぱり」じゃなくて「どうして?」だよなあ・・・)
オサムは幼なじみの悦子とのひと夏の経験を経て、妙な形で自分を過大評価するようになっていた。
朝。「ズームイン!」が始まったばかりだというのに、けたたましく電話が鳴った。
「あー、オサム?明日暇ある??」 電話の主は親友の弘之だった。
「え?まあね・・・」 オサムは、気のない返事をした。
「おい!なに気取ってんだよ!!合コンだぞ合コン!!好きだろ、オサム」 「あ、いやあ間に合ってるからな・・・」
オサムは精一杯の強がりを言った。本当は喉から手が出かかっていたのだ。
「またまたあ!どうせイブだっておまえ、やっぱり。。。」 「何だよ!おまえまで『やっぱり』って・・・」 「決まってんジャン・・・」 「あー、悪いけど今忙しいからまたな!!」
オサムは電話を切った。 (まったく、あいつまで「やっぱり」って・・・) オサムは、育毛剤の匂いのなかで、少しふくれながら朝食をとった。 |
PM 10:56:14 |
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■2000年12月25日
やっぱり。。。
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昨夜の徒労をよそに、精一杯のカラ元気を装って、オサムは出社した。 職場では、イブの話題で持ちきりだった。 20代の若手職員が、冷やかし半分で女性職員にイブの過ごし方などを尋ねている。
ただ、オサムに声をかけてくる者は誰一人としていなかった。 オサムとしても、一応、応答の内容は3バージョンほど用意してあったのだが、それも無駄に終わった。
昼休み、オサムは、そそくさとフロアを出ると、エレベーターの前で偶然エミリと鉢合わせになった。
「あ、こんにちは」 オサムにしては珍しく平常心を保ってエミリに声をかけることができた。 なにげなく薄くなった頭髪の乱れを直しつつ、オサムはエレベーターに乗り、エミリの横に陣取った。さすがにエミリの昨夜の出来事を聞き出す勇気もなく、オサムは押し黙っていた。すると、エミリが小声でささやいた。
「あのお、きのうはやっぱり。。。」
オサムが「え?」と聞き返すとエミリが俯いた。
「いえ、何でもないです。。。」
エレベーターのドアが開き、二人は押し出された。
「それでは、失礼しました」 「ああ、それじゃあ」
エミリと別の方向に歩き出しながらオサムはエミリが言ってた「やっぱり。。。」の後の言葉を考えていた。
(何故わかるんだ。。。)
オサムは方向をそれて洗面所の鏡の前に立った。無意識のうちに額を掌で覆ってシゲシゲと自分の姿を眺めてみた。
(これならまだ大丈夫。。。)
オサムには「審美眼」というものが欠落していた。。。 |
AM 12:07:11 |
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■2000年12月24日
きっと君は・・・
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今年も、例年どおり独りきりのイブを過ごす ハメになったオサムは、それでも浮き足立つ気持ちを抑えきれずに、イルミネーションの瞬く大通公園にわざわざ足を運んだ。
アベックで賑わう街中で独り立ち尽くすオサム。。。
それは単なる通行の邪魔でしかなかった。
それでも、時折時計に目をやり、ずり下がるメガネを上げたりして、人待ち顔をキメたつもりで、オサムはクリスマスの定番曲など口づさんでいた。。。
「きっと君は来ない。。。」
「きっと」も何も、待ち合わせてないのだから誰も来るはずがなかった。
こうして、オサムのイブは何事もなく幕を閉じたのだった。。。 |
PM 10:29:34 |
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■2000年12月23日
振り向かないで。。。
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エミリのもとからそそくさと走り出したオサムは、呼びとめるエミリの声に立ち止まった。
「あのお!!」
オサムの胸はキュンとなった。 (もしかして、もしかすると。。。) オサムは気落ちしきった表情を今一度キリリと締め直し、爽やかっぽく振りかえった。
「え?どうかした?」
オサムは、無関心を装いながらも、彼女の次の言葉に全神経を集中させていた。
「オサムさんもいい餅ついてくださいね!」
オサムは、得意の「コケ」をする気力もなく、ただ「ありがと!」とだけ言い残してその場を去った。
(絶対「いい餅」ついてやる!)
何やら悲壮感を漂わせながら、オサムは21世紀の幕開けを祝う餅のあるべき姿とはどういうものだろうと、頭の隅で考えていた。。。 |
AM 10:31:02 |
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■2000年12月22日
恥も外聞も。。。
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うら若き乙女ゲットにむけ、オサムは再始動することにした。 同じ職場のエミリちゃん(23歳)とのデートの約束をとりつけるべく、オサムは職場に着くなり、まっすぐに彼女のもとに向かった。 「おはよう!」 「あ、お、おはようございます。。。」 かなり荒めなオサムの鼻息に押され、エミリが少したじろいだ。 「クリスマスだけど、いいかな?」 「え?いいかなって。。。。」 今度はオサムがたじろいだ。 「じゃあ、正月はどうかな?」 「え?どうかなって。。。。」 オサムは声を上ずらせながら続けた。 「みんなで餅でもつくのかな?」 「はい。でも、それが何か?」 オサムは立つ瀬をなくしてこうつぶやいた。 「じゃあ、いい餅ついてよね」 次の瞬間オサムは突風のように立ち去っていった。。。 オサムはまたしてもまたしちゃっただけだった。。。 |
AM 04:03:30 |
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