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若き日自分の意識しないところから波が次々押し寄せてきた。

2
学生時代と変わらぬ流行に左右されない出で立ちは懐かしさより大学四年時の延長に感じた。
行きつけの喫茶店に入ると、四国から舞い戻り茅ヶ崎に来たのは裁判所書記官を受けるためだと言った。
頑固そうな四角い顔は事務的な職業向きだと思った。
「赤木、論文発表待ちらしいが」
「あぁ、でも何を書いたか、始めてやから、あかんと思うわぁ」
「そんなん、まぐれと言うこともあるし、わからんぞぉ、蓋を開けてみいいんと」

古都
この駅に降り、改札口から溢れ出してくる観光客の群れを遠目
で立ち止まって観察した。

赤木はざわつきハシャギ、前後左右を見渡す彼等とはもう違うのだ
と思う気持ちが沸々湧き上がってきた。

表玄関のバス・タクシー周辺は老若男女・十人十色の服装の坩堝で
ある。

訪問者を捜すには適していないと思い、少し離れた所で人が引いてから、次の観光客一団を乗せた電車が来る前に再会することにした。

赤木は丸井のクレジットで買った真新しいブリジストン社製の18段変則のユーラシア、サドルに跨ると両足が地面に届かぬ短い足、45度傾けて支えていた。

薄緑の車体はこの町に漂う香りに似合っていた。

「おぉ、久し振りやのぉ」と赤木よりも早く見つけ出し十メートル先から声がした。

奴は相変わらず蟹股で横柄な態度に見える胸を張り近づいてきた。


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