雅子様の愛読書として一躍有名になった絵本だそうだが、寡聞にして幸子が買ってくるまで私はその話を知らなかった。我が家のきゅい君にとってはおやすみのための絵本はこれまで幾冊もあったけれど、この絵本はとどめをさすものとして長く読まれ続けていくだろう。色調を限定した時代背景を思わせるレトロな落ち着きの絵柄もさることながら(原書は1947年刊)、へたな詩も真っ青なみごとな短文がむちゃくちゃ想像力をかきたてる。山岸健教授なら、さしずめ社会学の授業で一番先に取り上げそうだ。 このうさぎのぼうやの部屋には絵が3枚かかっている。我が家にはいきなりアンディ・ウォーホールのLove#3がかかっているところがなんともであるが、部屋にあるもの、部屋にいるものに対して一つ一つ声をかけていくくだりは自分の位置を確かめながら存在を実感する最適の方法だろう。そして、最後の一文の衝撃に、あとは本当の意味での沈黙が訪れる。すでにこれはケージである。この年、ケージが作った曲といえば、Music for Marcel Duchamp (1947)、Nocturne for Violin and Piano (1947)というあまりにも美しい小品と、The Seasons, a Ballet in One Act (1947)というバレエのための曲である。まだ4'33" (1952)までは5年あるが、すでにこの本にはそれがある。