シアタートラム 19:00開演 8列目下手
蕎麦屋のサッちゃん(鈴木蘭々)は祖母(小松和重)と父(松尾スズキ)との3人暮らし。小さい頃に犬に足をかまれたせいで今もびっこをひいている。かんだのが地元の大金持ちの飼い犬だったために一生分の慰謝料が手に入り、お父さんは働かなくなる。酔って暴力をふるう父に耐えかねて母(家納ジュンコ)は祖父と関係を持ち駆け落ち。
犬の飼い主だった不動産屋で働く営業マンで脳性マヒの沼田(小松の二役)はサッちゃんのことが好き。サッちゃんのことを同じ障害者だと思っているけれどもサッちゃん的にはステージが違うと思っている。ある日沼田が蕎麦屋に連れてきた後輩ゴロー(星野源)は社長の跡取りで、社長が亡くした子供の身代わりとして飼っていた犬がサッちゃんに殺され、生まれつき鼻が黒くて犬っぽかったためさらにその犬の身代わりとして引き取られた元孤児。
サッちゃんの祖母がある日捕まえた頭のおかしな女はドラッグ中毒で、料理人の面接で来ていた痴漢の前科を持つヅケヤマ(皆川猿時)にクスリの入ったポーチを預けて警察に連行される。サッちゃんと親友つぐみ(猫背椿)の学生時代の先輩はダンサーで、つぐみは子持ちながらその先輩が好き。サッちゃんの30歳の誕生日の日、つぐみが先輩に会いに行くとそこにいたのはクスリ屋の道潅(宮藤官九郎)。ラリっているところにサッちゃんがやってきて、さらにはサッちゃんと誕生日を過ごしたい沼田もやってきて、沼田は常連客だったことが錯覚。脳性マヒの自分にクスリは不可欠だと主張する沼田。
サッちゃんが逃げ出して蕎麦屋に戻ると、ポーチを探したい道潅が追ってくる。そこでは祖父と心中して死んだことになっていた母が戻り、戻ったことで絶っていた酒を解禁してしまった父による暴力が復活し、母が父を縛り付けたところ。祖母がボケていたり、ゴローがサッちゃんを好きだったり、サッちゃんがヅケヤマに一目惚れしていたり、ヅケヤマは祖母に一目惚れしていたり、慰謝料はサッちゃんが既にエロサイトにつぎ込んで使いはたしてしまっていたことなどが発覚する中、道潅のボスの中国人(松尾の二役)が現れサッちゃん父を射殺、ヅケヤマも祖母を助けようとして撃たれる。サッちゃん母はヅケヤマからポーチを奪い、道潅とともに闇の世界へ去っていく。
店のテレビに映し出される、北朝鮮のミサイルが日本各地に着弾したというニュース。それは幸福追求党によるフィクションだった。生前葬が見たいという夢を叶えるため致死量寸前のクスリをのもうと道潅に分けてもらった粉がヅケヤマによって味の素に差し替えられていたサッちゃんは、ヅケヤマが開発したサッちゃん定食を食べることにする。明日から大変なことになる。でも明日のことは明日考えよう。演出の都合により、カーテンコールはないまま幕。
近親相姦、障害、クスリ、宗教と政治、北朝鮮。嗚呼、禍々しや。もうすぐ30歳とかエロサイトが好きとかって設定のサッちゃんに当初は自分を重ねそうになったりもしたんだけど、どんどん遠くなっていった。禍々しいの大好きだしすげー面白かったけど、障害者とか身近にいなくてよくわかんないしクスリもやったことないし、食と排泄の関係とかっていう松尾が普段からエッセイに書いてたりするようなことが一切の私小説的な形を借りず立派で過剰な物語になっていることに、なんかだんだん変なコンプレックスが湧いてきてしまって、自分と遠ければ嫉妬は生まれない神話は若い時だから成り立っていたのかもと思うと切ない。他人の表現を鑑賞することを趣味にするのはもうやめようか。
私には物語を編むことができないという絶望を粗筋を書きとどめることでなんとなく相殺しようとしてみたけど、どうだろうか。 |
PM 08:34:06 |
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[松尾スズキ/ケラ]
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